消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



よく見ている、という事よりも、そういう認識を持たれていたことにくすぐったさを感じる。


なんて言っていいか分からない中、一言。


「あ、ありがとう…」


「どういたしまして」と、よく分からないと表情に出しながらも笑う彼女に胸が締め付けられた。



彼女の長所は、素で人を褒められるところだ。


あれこれ考えることも馬鹿らしくなるほどに、思ったことをそのまま言ってくれる。


だから、好きでいることを止められない。


今日もそれを実感するのだ。







「さてと、どちらに参りましょうか」


カフェを出て、人の少ない通りをのんびり歩きながら問いかける。


かしこまった態度で振る舞う僕に、彼女はくすりと笑う。


「貴方とならどこへでも」


おどけて返されるも、一瞬どきりとする。


なんてタチが悪いんだ…。


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