消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
畑中さん、遅いな。
もう10分近く経っている。
近くの自販機までは、石畳が続くそこの角を曲がってすぐだ。
品揃えが良くて、熱心に悩んでいるのか。
ありえなくはない、と1人笑いながら立ち上がる。
迎えに行こう。
広がる石畳の上をはみ出さないよう、意識して歩く。
小学生の時、白線の上だけを歩く遊びが流行ったっけな。
白線から出たら負けで、負けた人は罰ゲームとして友達のランドセルを一定距離運んだりした。
思い出した今だからこそ思う、謎すぎる子供の遊びだ。
高校生になった今でも、時々やりたくなるのはどうしてだろう。
角を曲がると、畑中さんの姿が遠くに見えた。
「畑中さ…——」
声をかけようとして、止まる。
誰かと一緒にいる。
遠目に見て、同じ年くらいの女子数人。