消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
知り合いだろうか。
畑中さんの体が自販機を向いていて、コイン投入口に手をかけているところを見ると、正に今ばったり出くわしたらしい。
歩みを進めると、話し声が聞こえてきた。
「あんたおかしいんじゃないの?」
「ご、ごめんなさい。あの、考え事してたから突然で驚いちゃって…」
「あんたそれしか言えないの?おちょくってるとしか思えないんだけど」
「っそんなつもりない!」
言い争っているみたいだ。
相手側が何かに怒っていて、畑中さんが必死にそれを否定している。
よく分からないけど、数人がかりで責めるのは違うだろ。
普段はなかなか行動できない僕だけど、この時の判断は早かった。
彼女が絡んでいるからだろうと言ってしまえばそれまでだけど、今の僕にそこまで考える余裕はなかった。