消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
君の嘘、ただ君が好きなだけ
ただただ、漠然と。
最初に思ったのは、『全部夢だったのかな』だった。
不思議とショックはなくて、ただ……
感覚が、消えた。
ごく自然に。
怒りや悲しいといった感情はもちろん、衝撃や戸惑いなどの心理的打撃もなかった。
意識がどこか遠くにあって、まるで自分とは一切関係ない外野として遠巻きに見ているようだった。
「畑中、さん……?」
ぼんやりとした意識の外。
驚くほど無機質な声が自分の唇からこぼれた。
疑心で溢れていた彼女の瞳が、見開かれる。
その表情に訪れる、変化。
隔絶された意識の世界で、その光景は異常なほどゆっくり廻って見えた。
「な、直人…くん……」
その顔いっぱいに浮かび上がる焦燥。
視線をあちらこちらと動かして、忙しない。