消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
嘘、秘密、畑中さんが何かを隠していることを知ってから数週間。
メールのやり取りをするくらいで、あれから今日まで会うことはなかった。
気付けばもう明日から夏休みだ。
畑中さんの学校はいつから休みだろう。
そろそろ会って話したい。
気長に待つことを決めたのは僕で、そう思う気持ちは今でも変わってない。
会って直接言葉を交わさないと彼女には近付けないままだ。
最後のやり取りは、昨日の「おやすみ」のスタンプで既読がついたところまで。
この平行線のまま連絡を取り続けて、また前みたいに手の届かない存在になってしまったら…?
それが一番怖いことだ。
こうして焦っているのは僕だけなんだろうな…。
でも急かすのもな…。
「……あ」
そこまで悩んだところで、シャボン玉が音もなく割れて現実に戻された。