臆病なわたしたちは
今度こそ逃げられないように流奈は授業が終わり次第すぐに透也のクラスへ向かう。(昼休みも逃げたわけではないのだが)

「失礼します。杉宮透也くんいますか?」

ドアを開けてそう言うと、親切そうな人が、ちょっと待ってて、と言って呼びに行ってくれた。

透也はイヤホンをつけていて、流奈の声は聞こえていなかったらしい。

透也は流奈を見て、一瞬不思議そうな顔をしたあと、すぐに嫌そうな顔をしながら教室を出てきた。

「何か用?」

「嫌そうな顔しながら聞いてくるなぁ。」

「用がないなら席に帰る。」

「まってまって。用はあるからさ。」

流奈は、無愛想な人だなぁ、と思いつつ用事を済ませようと話を始める。

「昨日、委員会の集まりでの話なにも聞いていなくてね。でも昨日色々説明があったと聞いて...
教えてくれないか?」

「聞いてなかったのか?聞いているように見えたけど。」

「人の目をみながら聞き流すのは得意だ。」

「得意気に言うことじゃないだろ...

教えてやるからとっとと帰れ。」

「やったぁ。透也くんありがと「...寒気がするからやめてくれ。」

(なんかこいつ葉月に似てるな。)
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