【完】ホタル
第1話
「夏菜~、帽子忘れとる。」
「え、ああ。」
「あっち暑いんやから気をつけるんよ。」
「うん。」
「おばあちゃんによろしく言っといて。」
「わかった。」
白いワンピースに白いサンダル。
小さなひまわりのついた麦わら帽子。
ショルダーバックとキャリーを持って。
小さな玄関を後にした。
外は蒸し暑くて、一歩歩けば肌がしっとり汗ばむ。
それでも私は行く。
約束だから。
私と、彼の。夏の間の、約束。
電車で3時間。それからバスに乗り換えて2時間。
そして少し歩いた所に日和村がある。
祖母の住む場所。
そして、小学校まで住んでいた私の故郷。
彼と出会った、特別な場所。
小さい頃から伸ばし続けた腰まである真っ黒な髪を撫でる。
彼が褒めてくれた黒い髪。
長い髪が好きだと言うから、ずっと伸ばし続けている。
毎年彼はそれを綺麗だと笑って褒めてくれる。
「え、ああ。」
「あっち暑いんやから気をつけるんよ。」
「うん。」
「おばあちゃんによろしく言っといて。」
「わかった。」
白いワンピースに白いサンダル。
小さなひまわりのついた麦わら帽子。
ショルダーバックとキャリーを持って。
小さな玄関を後にした。
外は蒸し暑くて、一歩歩けば肌がしっとり汗ばむ。
それでも私は行く。
約束だから。
私と、彼の。夏の間の、約束。
電車で3時間。それからバスに乗り換えて2時間。
そして少し歩いた所に日和村がある。
祖母の住む場所。
そして、小学校まで住んでいた私の故郷。
彼と出会った、特別な場所。
小さい頃から伸ばし続けた腰まである真っ黒な髪を撫でる。
彼が褒めてくれた黒い髪。
長い髪が好きだと言うから、ずっと伸ばし続けている。
毎年彼はそれを綺麗だと笑って褒めてくれる。
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