【完】ホタル
第3話
あれから時が流れて私は高校1年生になった。
あの夏から毎年欠かさず夏休みはおばあちゃんのところへ泊まるようにして。
毎日、ユキに会いに行った。
過ごせば過ごすほど、ユキについて分かることが増えていった。
ユキは、日和森にある小さな神社の守り神で。
300年前から存在していること。
だけど、最近は信仰する人が途絶えて。
妖力が弱まってきていること。
だから、夜の間しか私とユキは会うことができない。
太陽の光に弱いのも理由の一つらしい。
そして、ユキは狐の妖怪で。
白狐らしい。
その影響で人の姿かたちも白いらしい。
あの夏の日から私は、ユキの声を聞く事が出来なかった。
あの日、声が聞こえたことすら奇跡らしく。
普通はあんなことあり得ないらしい。
きっと、私の助けてほしい心とユキの妖力が満月によって共鳴したんだろう。
そうユキは言っていたけど。
私は、運命だと思ってる。
私とユキは出会うべきして出会ったんだって。
そう思っているよ。
「ねえ、今年こそ本当の名前教えてよね。」
「だから名前なんかないって。」
「うそだ。」