【完】ホタル
ハクは拾わなかったんじゃなくて。
拾えなかったことに。
ハクの足は光の粒となって空に舞っていた。
どんどんハクは光の粒になっていて。
その時、ハクが消えそうなことに気付いた。
「ハク!!どうして!!」
「夏菜、落ち着いて。」
「ハク!!」
消えていくハクの姿に動揺が止まらない。
どうしてこんなことに、なんで……。
「俺は、本当の名前を知られると消えてしまう。
そういう契約で、人間の形をとどめていたんだ。」
「え……?」
「それでもだんだん妖力は衰えていって。
もう潮時だった。
この姿でいられるのも。」
「私のせいで……。」
「違うよ、夏菜。
夏菜の願いを叶えてやりたいと思ったんだ。
最後の願いを、叶えてやりたかった。」
「最後なんて言わないで!!
ハク、待ってお願い……。」
「夏菜、好きだ。」
その言葉に、我慢していた涙がこぼれ出す。