【完】一ヶ月の恋人
第2話
意外と引っ張る腕の力、強かったな。
さっき掴まれた腕の部分にそっと自分の手を重ねる。
手も、ちゃんと男の子だったし。
白くて綺麗だったけど、角ばってて……。
ほんとさっきのなんだったんだろう。
病院からの帰り道、さっき起きた出来事を思い返しながら。
私は一人うねり声をあげていた。
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「こ、恋人?
さっき私泣いてたの見ましたよね?
失恋したばっかりですよ?
しかもさっき。」
「はい、見てました。」
「じゃあなんで!」
「順を追って説明をしますね。」
そう言って微笑んだ風見さんは。
乱れた服を直したあと、口を開いた。
「僕は心臓病を患っていて、余命1ヶ月なんです。」
それを聞いた時、一瞬気が遠のくのを感じた。
余命……1ヵ月?
「僕は生まれてからずっと病室で過ごしていて。
学校というものをよく知りません。
この身体じゃ行けそうにないので。
……でもひとつ。
知りたい事があるんです。」
そう言った風見さんは私の手をぎゅっと握った。