【完】一ヶ月の恋人
どう会話をしていいのか分からなくなって下を向いていると。
遠くから理央先輩を呼ぶ声が聞こえてきた。
この声……、女の子?
「せっんっぱぁ~い!!」
「わっ。」
勢いよく抱きついたその子は。
先輩好き好きオーラ全開だった。
な、なにこの子。
「先輩っ!一緒に帰りましょ!!
今日こそ帰ってもらいますからね!!」
「あ、灯。今人と話してるから。」
「えっ、ああごめんなさい!!
お邪魔してしまいましたか?」
そう言って頭を下げるその子は。
確か隣のクラスの女の子だった。
「私灯って言います!あなたは?」
「さ、笹原詩羽です。」
「詩羽ちゃん!めっちゃ可愛い名前!!
ねっ、先輩!!」
「ああ、そうだな。」
その言葉だけで胸が締め付けられる。
先輩……。
「で、先輩今日帰れますかっ?」