【完】一ヶ月の恋人
「あら詩羽ちゃん。どうしたの?」
「こんにちは、お母さんいる?」
「笹原さんならもうすぐ戻ってくるわよ。
なあに、悩みでもあるの?
おばさんたち聞くわよ。」
「実は、失恋しちゃって……」
「うそっ!?詩羽ちゃんいい子なのに。
誰よその子は~。」
「ずっと好きな先輩だったんです。
すっごくかっこよくて大好きで……」
先輩との思い出話を語る。
泣きたい気持ちをこらえて、できるだけ笑って話す。
こんなところで泣いちゃみんな困るもんね。
話を聞いてくれたおばちゃんたちは。
みんな頭を撫でてくれたり、飴ちゃんをくれたり。
優しい。その優しさが染みる。
きて良かった……。
「詩羽ちゃんにはもっといい子がいるわよ。」
「そうよ~、あっうちの息子なんてどうよ。」
「あははっ、暫く恋愛はいいかなあ。
なんか疲れちゃった。」
「あら、詩羽来てたの?」