【完】一ヶ月の恋人
予想はしていたけれど、やっぱり堪えるものがあって。
自分の軽率な行動を後悔した。
引きとめることも追いかけることも言い訳する事も出来ない。
ただ待つことしかできない自分が、酷く嫌になった。
そんな僕に追い打ちをかけるように。
病気は進行の速度を速めた。
彼女が来ない間にまた痩せた。
髪はどんどん抜けていく。
まともに食事を摂るのも困難になっていった。
死期が近付いていると、身体が感じ取っていた。
きっともう長くないだろう。
こんなことならこんな気持ち、知らなければ良かった。
誰かをこんなにも愛おしく想う気持ち。
手に入れたいと思う気持ち。
こんなもの知ってしまったら。
死ぬのが怖くなってしまう。
「好き。」
病室に走って入ってきて僕を抱きしめた彼女が。
小さな声でポツリと呟いた。
その後、泣きながら。
「爽太が好き。」
そうはっきりと言ってくれた。
きっと僕が病気になってしまったのも。
今日この日を迎えるための犠牲なんだろう。