気まぐれ王子の溺愛
「ア・サ・ヒ・君っ」
満面の笑顔で近寄れば
若干、青ざめているアサヒ。
「なに教室まで来てんの?頭悪いの?喧嘩売ってんの?くだらない用だったらブッ殺すからね?」
小声でアサヒにしか聞こえないように。
顔はもちろん優等生スマイルを
はりつけたまま。
「ね、ねーちゃん…ちょ、英語の辞書貸してくんね?」
「あらぁ、お隣のクラスのユウヒ君に借りたら良かったんじゃないの?」
「あ、あいつが辞書持ってるわけねーじゃん。まじ今日当たるからやべぇんだって、頼むよ」
私たちの会話は他の人たちには
聞こえていないだろう。
ただ私の笑顔、雰囲気だけを見て
仲よさそう〜だとか
美男美女〜だとか
そんな言葉が飛び交う。