君は俺を好きにならない。
序章

実体のない「俺」

君は俺を好きになることはない。

それは何故か。

「俺」は「君」で、「君」は「俺」だから。

つまり、俺は君から生まれた第二人格。

だけど君が俺を別人として認識するのは、俺が「自我」を持っているから。

君の負の感情、防衛意識から生まれた第二人格だけど、君は俺を無意識のうちに創り出した。

だから俺は、君を守る存在。

蔑まれ、

奪われ、

疎まれ、

傷ついた君が生み出した産物だから、俺は君を守ることが使命。

だから君は俺のことを好きになるはずはないんだ。



なのに、俺は。

泣き虫でボロボロな君を、どうしようもないくらいに好きになっていたんだ。
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