初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
『クルミ、ノリカに代わって?』
「うん、わかった」
電話をそのままノリちゃんの前に差し出して。
「木村がノリちゃんに代わってって」
「え?私?」
ノリちゃんは一度テーブルの上に置かれた手を握りしめて、それからパッと手のひらを広げてから携帯を掴む。
そろそろと耳元に持っていき「聡?」と呼びかけた。
木村が何を言ってるかはわからない。
だけど、木村ならノリちゃんの気持ちをうまく汲んでくれると思う。
「……うん」
下を向いたまま、電話を耳に当てて頷くノリちゃん。
何度か頷いた後で「じゃあ、明日待ってる」そう言って電話を切った。
「もうっ、クルミったらっ、強引っ」
「私もね、大人になったんだよ。ノリちゃん」
「うん、ほんと。そんなクルミ知らなかった」
そう言いながらもやっぱり嬉しそう。
なんせノリちゃんの部屋はあのままだ。明日の準備もあるだろうから、
「今日はそろそろお開きにしようか」
「でも……」
「私も、ほら。先輩に連絡しないといけないし」
確かにそれもあるけど。やっぱりノリちゃんに心も向きあう準備もして欲しいから