初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
今まで話した中に“なんかいい”要素なんてあっただろうか。
先輩の言うそれには思い当らなくてつい無言になる。

『あ、ごめん。何の事かわかんないよな』

私が何も反応できずにいたからか、先輩は焦ったように言う。

「……はい」

『一日の終わりにクルミの声聴けるの、イイなって思っただけ』

先輩ってこういう甘い言葉を言うタイプだった?
しかも電話だから直接耳に届いてくる声はいつもとは少し違って。
なんていうか……

『……悪い。少し舞い上がり過ぎだった』

「や、あの……」

こう言うときってどう反応したらいいんだろう。
付き合ってるわけじゃないこの微妙な関係だからこそ考える。
ハッキリと言われたわけではないけど、先輩が好意を持っていることはわかってる。


いつからだろう。
相手の出方を考えて返事をするようになったのは。
言葉の裏とか、そんな事ばかり考えて。

先輩の言ってくれた言葉は嬉しいはずなのに。
それに簡単に答えちゃダメなんて思ってる自分もいる。

ほんと、いつから私はこんな面倒くさい性格になっちゃったんだろう?
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