初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「なんか改めて言うとなると、照れるな……」
耳を赤くして言う先輩が、中学の時の先輩と重なる。
先輩は誰とでも気軽に話せるのに、案外照れ屋で時々からかわれて赤くなってたっけ。
そうそう、こんな風に照れながら……
「あのさ―――
中学の時の先輩の声が頭の中で聞こえてきた。
これは記憶。
そう、たしか県大会の本選の帰り。
あの時もこうして先輩は下を向き、何か言おうとしてた。
あの後どうしたんだっけ?
えっと、ユキを待ってて。それから……
そうだ。ユキが来たから話が中断されたんだった。
何か言おうとしてたから先輩にすぐに聞いたら、大したことじゃないって言ってた。
やり直しじゃなくて続きといった先輩。
そして今……
「クルミが好きだ。……あの頃よりもずっと」
想い出にすっかり思考が持っていかれてた。
その間に下を向いていたはずの先輩は、しっかりと両手で私の手を握り見下ろしてる。
まっすぐな視線。
あの頃とはあきらかに違う決意を感じる。
この前は興味があると答えた。
今日は同じ事を言うわけにはいかない。
だけど、