初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
先輩の思い出は、思い返してみると案外多い事に気付く。
2年の合宿の夜、あんなことがなければもっと仲良くなっていたのかもしれない。
まぁそんな事思っても、今更だけど。

卒業式が終わったあと、いつものように音楽室に向かった。
そこに居たのは卒業式を終えた先輩たち。その中に外山先輩の姿もあった。

「よ、クルミ」

まるでいつもの部活の時みたいに話しかけてきた。
ここに来るのは今日で最後なのに。

「先輩、卒業おめでとうございます」

「ん、めでたいのかな?」

そう言った先輩は、無理に笑ってるみたいに見えた。

「あ、そうだクルミ」

「はい?」

「悪いんだけど、これ持って帰ってよ」

これって差したのは小さな花束。

「え、でも……」

きっと誰かが先輩を想って渡したのであろう花束。それを私が貰うわけにはいかない。
うちの部の子が渡したのは一輪の花のはずだから、

「さすがにこれは、ちょっと恥ずかしい。」

可愛らしいピンクのリボンのついたブーケのような花束はすごく可愛らしい。
たしかに男の子が持つのはちょっと、かな。

「先輩の最後のお願いだから、聞かないわけにはいきませんね?」

「おぅ、頼む」

あの時先輩がくれた花束にカードが挟んであった事を先輩に教えられないまま。
きっとこのカードを書いた子は自分の事を知って欲しくて渡したはずなのに。
――――あの時の痛みが甦る。
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