初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
カウンターメインの小さなイタリアンのお店。
いつもはそこに座ってオーナシェフのお勧めを出してもらったりするんだけど。
今日は休日だからかすでにカウンターは一杯で、二階席に通された。

「先輩、明日はお休みですか?」

「ん?あぁ、今日頑張ったからな」

その言葉にほっとする。
近くで見ると少し疲れた顔をしている。
明日はゆっくりできるんだとしたら良かったな。

「じゃあ、少し飲みますか?」

「いや、普通に飲むけど?」

先輩のその言葉に顔を見合せて笑う。

そう、こういうやり取り。
これが好き。
他の人が聞いたらなんて事のないやり取り。だけど、これはあの時に戻ったような、それでいてあの続きのような。

やっぱり今日もオーナーのお勧めをお願いして、さらにそれに合うワインをオーダーした。

「そういえばさ、クルミ」

「はい?」

「先輩っていつまで呼ぶんだ?」

「はい?!」

その問いかけに驚いてテーブルのグラスに袖を引っ掛けて危うく倒しそうになる。
先輩がそれをなんなくキャッチして。

「クルミ、慌て過ぎ」

グラスを元に戻しながら、なにもなかったように言う。
だって、その原因作ったの。先輩ですよ?
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