初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
今度こそ、その意味がわかんなくてただそのまま先輩を見てると。

「俺がクルミじゃなくて名前で呼びたいから、そう言っただけ」

「へ?」

「クルミの特別になりたいなんて、クルミの言い方をすれば乙女な事思ってただけだよ」

“クルミの特別”その言葉が素直に嬉しい。

「先輩が呼びたい呼び方で呼んでください」

「ノリ」

少し甘い声。
それに胸の奥がキューってした。

あれ?私。先輩にきゅーってしないんじゃなかったっけ?

そんなのウソだ。

ドキドキして先輩の顔が見れないんなんて。こんなこと今まであったかな。
なかなか顔を上げられないままでいると、そこに聞こえてきたのは先輩の心配そうな声。

「あ、ごめん。嫌、だったか?」

慌てて顔をあげて先輩を上目づかいにそっと見る。
そこにはどうしたらいいのかわからない、そんな顔の先輩がいた。

「そ、そんなんじゃないです。あの……、」

どう言ったらいい?
あぁこんなの久しぶり過ぎて、良くわかんない。
ドキドキしてる自分が意外で、でもなんか嬉しい。
この言葉をうまく表現する言葉は?

「クルミ?顔上げて?」
< 124 / 820 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop