初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「どうぞ、」
おずおずと玄関の扉を開け、先輩を中に促す。
昼間、掃除をしておいて良かった。
「飲み物、それでよかったんですか?」
「ん?あんまり飲んで帰れなくなったら困るだろ?」
まぁ付き合ってるんだし、それならそれでもいいと思うけど。
きっと乙女な先輩より私の方が男っぽい考え方だ。でもそれはさすがに言えない。
誘ったって前にもノリちゃんに叱られたばかり。
あーでも、あの頃は付き合ってなかったから怒られたんだろうから。
今ならこれぐらいはいいのかな?
「じゃあビール一本だけ。付き合ってください」
私はビールはあんまり得意じゃないけど。先輩はほんとはビールが好きなのを知ってる。
お気に入りのアイリッシュバーでおいしそうにビール飲んでた。
「ん、わかった。彼女のお願いだからな」
やっぱり先輩は私に甘い。
「クルミって、ほんとズルイよな」
「へ?」
「いや、、ズルイって言葉じゃないな、うまい。とも違うな、」
そう言って考え込んでしまう先輩。
ズルイとうまいって、どうも誉められてる気がしない。
「いや、さ。いつもクルミは。俺を煽るのがうまい」
「煽ってません!」
いや、この前は確かに煽ったのか?