初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「昔の事ばっか言うなってクルミは言うけど。俺さ―――中学の時、クルミの事を好きだと気付いた時、同時にクルミの目線の先に気付いた。だから諦めようとしたんだよ、俺。でも、言いがかりみたいな嫌味言われて、俺と距離置いたクルミに謝りたくてもどう言っていいかわからなかったよ」
そう言ってから、一口ビールを飲む。
先輩気付いてた?
ユキの事だけじゃなくて、私の好きだった人。知ってた?
私の方を見ないまま、話を続ける先輩。
「なのにクルミは俺達が引退する時、寂しいなんて言うしさ。俺、一瞬舞い上がったけど受験もあったしな。」
また、一口。
「寂しいって言ったのは嘘じゃなかったですよ。ほんとにそう思ったし、」
そんな事今更言ってもどうにもならないけど。
「あぁ、もうそれはいいんだ。今は続き、させてもらってるから」
そう言った先輩があの頃の先輩と重なって手を伸ばした。
続きさせてもらってるなんて言う言い方おかしい。対等な関係で付き合ってるつもりでいたのに。
先輩の腕に触れた。その瞬間、私の手から逃げた先輩の腕。
「あ、ごめ…なさ……」
私はただ、先輩を安心させたいだけなのに