初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
奥のソファー席に通された私たち。
お腹がすいているという木村の料理とそれぞれの飲み物をオーダーした。
私たち三人は鍋を食べた後だから食事の入る隙はない。

「へー、なんか本格的」

「ほんとだねー、しかも駅からこんなに近いのに何で有名じゃないんだろ」

木村もノリちゃんも店内を見渡して言う。
そんな二人を見て坂下くんとクスリと笑いあう。

「あ、なんかそこ。二人で目で会話しちゃってさ。なんかやらしいの」

やらしいって何。ていうか、目で会話って。

「俺達も先輩に連れてきてもらった時、全く同じ反応だったからね。それ思い出してた」

「先輩すごいわー、大人よねー」

隣で料理を黙々と食べている木村を見ながら言うノリちゃん。
私も最初同じ感想だったけど、あの後のやり直しで坂下くんも大人だななんて思ってたっけ。

「私もノリちゃんも、話題の店とかに流されるタイプだもんね」

そう言ってノリちゃんと一緒に笑った。
私たちは“今流行りの”とかの誘い文句に騙されやすい。
そんな話をしているうちにいつの間にか食べ終わった木村は飲み物のおかわりまでオーダーしてる。
こんなとこ、木村はあの頃と全然変わってない。
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