初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
再会の夜1
「クルミ、元気?」
木村と話をしながら、中学の時の事を思い出していると、さっき目線でとらえたユキの姿が目の前にあった。
ユキは木村にも「久しぶり」と挨拶をして当たり前のようにそこに座る。
あの頃からユキは坂下君にも話しかけてた。
同級生だし、部活が一緒なんだから普通に話せばいいって言うけど。
当時の私にとっては好きな人ってやっぱり特別。
ユキみたいに気軽に話しかけたりなんか出来なかったんだよね。
出来なかった。ではなく、27になった今でもそう。
「うん、ボチボチ」
「何それ。」
そう言ってクスクス笑うユキ。そのユキの左手の薬指にはプラチナリング。
あぁ、そうだ。この余裕は結婚してるからか。
改めてユキを見る。綺麗に塗られたネイル。しっとりとした質感の肌。決して派手ではないけど上品な服装。
どれをとっても幸せな奥様そのものだ。
「お?鈴山って結婚したんだ?」
「あ、うん。二年前ね」
どうしてもこの年になると結婚の話は避けて通れない。仕方がないけど苦痛な時間。
だって私は未だに、左手の薬指にただのリングさえした事がないのだから