初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「……家に帰ったら指輪と離婚届がテーブルに置いてあった」

「え、」

離婚届?それって出て行ったっていう事……。

「噂、聞いた?うまくいってないっていうの」

「あぁ、…うん、」

嘘はつけなくて正直に答えた。

私は一度も結婚した事ないし、未だにしたいと思う人にも出会えてない。
だから結婚とか離婚とか正直よくわからない。
けど二人で決めて結婚したのだから離婚だって二人で決めるものじゃないの?

「みんなと会った頃、もう一緒に住んでなかったんだ」

そう言って坂下くんはまた一口。
だけどもう飲んじゃダメとはいえなかった。

「平日は寝に帰るだけでも、週末になるとどうしても」

―――コトン。

テーブルにグラスを置く坂下くん。

きっと寝に帰るだけなんて言っても、実際はそんなに寝れるような状況じゃなかったのかもしれない。
一人暮らしをしている私でさえ、寂しいと思う週末があるのに、奥さんの居ない週末は坂下くんにとって耐え難い苦痛があったんだろう。

坂下くんのために何かしてあげられる事はないだろうか。
結婚も離婚もしてない私がしてあげられるアドバイスはない。

けれど何か一つでも、
気晴らしだけでも、
今の坂下くんに何かしてあげたい
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