初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
二年前、ユキの結婚式に出席した。
東京の大学を出てそのまま就職した私は、覚えたての仕事が楽しくて25で結婚するユキにもったいないと言っていた。そんな言葉今なら絶対に言わない。あの頃よりも数段綺麗になったユキが目の前にいるから。

「クルミはまだ仕事続けてるの？」

ユキに悪気はない。
ユキが結婚して以来、連絡するのが躊躇われて年賀状のやり取りぐらいしかしていない。だからユキとも久しぶりだった。

「うん」

そこで木村が「またあとで」と言って席を立った。
木村なりに気を使ってくれたのかもしれない。
だけど今は、そのまま気付かない振りしてそこにいて欲しかった。

「ねね、あいかわらず坂下君かっこいいね？」

さっき彼と話をしたからか懐かしそうに話をする。
お互いに左手に指輪をしている者同士、優越感があるんじゃないかなんて思うのは私の考えが卑屈なのか。

「そうかな？人のものなんだし、別に……」

そう言っておきながら人のモノってチェックしている私は相当に気になってるくせに。
そんな私にユキは声をひそめて、

「でもね、最近奥さんとうまくいってないらしいよ？」

“うまくいってない”
その言葉を聞いた瞬間ドクリと胸が嫌な音をたてた。
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