初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
熱い気持ちを受け続けて、お互いのアルコールに酔ったのかもしれない。
フラッと体が揺れると、先輩が唇を離し、倒れないように優しく抱きよせられた。

「もうっ。息、出来ないじゃないですか」

この甘い雰囲気が照れくさい。それに初めての口付けが甘すぎたから余計にこんな言い方のなったのかもしれない。

「……ごめん」

今度の「ごめん」はさっきとは違う意味が含まれてる。
だってさっきよりもその声が優しい。

「でも、ごめん。もう少しだけ」

そしてもう一度口付けられたその熱からも想いが溢れて……こぼれそうだ。
私にはソレを受ける資格があるのだろうか。

熱に浮かされて、そのまま先輩に溺れられたらいいのに。
そしたらきっと資格とか、何が返せるかとか、そんなこと考えられなくなるのに。

最後に音をたてて唇が離れていくと、急に冷えたその唇が寂しくなる。
矛盾した考え。わかってるのに、いつも私はこうだ。

先輩の事は好きなんだと思う。
会いたいと思うし、寂しいとも思う。
けれど、焦がれるほどの想いはない。

口付けたから気付いてしまった。
その想いの違いに。


だからきっと先輩にも伝わってしまったかもしれない。
そう思うとまた胸が痛い。
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