初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「お?クルミか?」

後ろから声を掛けられて、隣にいたユキがすぐに振り返る。

「うっわー、外山先輩じゃないですか!」

合宿の時の私がいじめられた元凶。まさにその人だった。
まさか近くにまたあの先輩居ないよね、そんな事思いつつ私も振り返る。

「お久しぶりです。外山先輩」

あの頃の面影を少しだけ残した先輩は年上とは思えない若々しさがある。頼りない感じではなく、はつらつとして今を楽しく過ごしている感じが全身からみじみ出ている。

「あいかわらず二人は仲いいのな」

いや、二年ぶりだけど。まぁ別に説明するのも面倒だし。
それより、

「相変わらず素敵ですね、外山先輩」

私が思っていたままの事を、横からユキがすかさず言う。
そういう事サラリと言えちゃうのはユキの物怖じしない性格だからなのか。

「はは、お世辞でも嬉しいね。俺も混ぜてもらってもいい?」

「どうぞ、どうぞ。」

外山先輩はさっき木村の座ってた席に座り「俺もビールもらっていい?」と私に向かって聞いてきた。

「あ、はい。すみません気がつかなくて」

外山先輩に新しいコップを渡し、ビールを注ぐ。

「じゃ、関東大会の進出を祝して乾杯」
「「乾杯」」

あぁ外山先輩はちゃんとこっちがメインなんだ。と思いながら、コップを持つ先輩の左手の薬指に何もない事になぜかホッとする自分がいた。
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