初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
玄関から部屋に戻るとわずかに聞こえたLINEの通知音。

TAKESHI
【飲み物とか買っていこうか?】

「ふふ、ほんと先輩は」

そのまままっすぐ来てくれればいいのに。

NORI
【ケーキとワインはありますよ】

TAKESHI
【おっけー】

文字を見てるだけなのに先輩の姿が浮かんでくる。その後の動作まで想像できてしまって、緩んだ頬を慌てて押さえた。



―――ピンポーン


ほぼ予告通りの時間にチャイムが鳴る。
今度こそ先輩とわかったからそのままドアを開けた。
返事もせずにドアを開けたから先輩は少し驚いて。

それから、

「ごめん、遅くなっちゃって」

少し眉をさげ謝る先輩。

うちにつくなりこんばんはもなくまず最初にいったのはこの言葉。
私は何度先輩にごめんって言わせたんだろう。
先輩のごめんって言葉を聞くたびに切なくなる。
その言葉を言わせてるのは私だから。

でもまだ8時半、謝られるほど遅い時間でもない。

「寒かったですか?どうぞ中入ってください」

ニッコリ笑ってドアを大きく開け、中に先輩を招き入れた。
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