初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「そういえば、シャンパンじゃなくてなんでワイン?」
グラスにワインを注ぎながら聞く先輩。
本当の理由なんて言いたくなかったけど、無計画にクリスマスに会いたいと言ったのは自分。
「フルボトルのたっかいシャンパンとノンアルコールのしか残ってなかったんです」
私が正直にそう言うと笑いだす先輩。
「はは、だろうな」
「笑い事じゃないです、本当に。こんなことならもっと早く言えば良かった」
早く言ってればもうちょっと何とかなったかもしれないのに。
いつまでも自分の殻から抜け出れない私にもあきれる事なく待ち続けてくれている先輩。
そんな先輩に何かしてあげたくて、でも結局は私のわがままを通しただけ。なのに、先輩は、
「だからクルミは、イイ子過ぎるんだよ」
「そんなことっ、……ないですよ」
イイ子じゃなくて臆病なだけ。
こんな事言ったら機嫌を損ねちゃうんじゃないかとか、無意識にそんな事ばかり考えて行動してる。
10年以上もそうやって過ごしてきたんだからそれをすぐに直すなんて事は出来なくて、きっと先輩の前でもそれを続けてたんだと思う。だけど先輩はそんな私に気づいてる