初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「当然っ、彼氏だしね?ほらクルミ、乾杯しよう」
先輩はワインを注いだグラスを私に持たせた。
「何に乾杯ですか?」
「とりあえずはメリークリスマスだろ?」
先輩はそう言ってグラスを掲げた。
「それから、クルミと過ごす初めてのクリスマスにクルミが会いたいって言ってくれてありがとう」
私が持つグラスに先輩がグラスをあて小さく音をたてる。
その音が教会の鐘の音のように感じるなんて。
ツリーもなにもない、普段と変わらないこの部屋で先輩と過ごすクリスマス。
だけど会いたいって言ってよかった。
先輩のこんな顔が見られるのなら、ワガママも言ってみても良いのかもしれない。
「ありがとうなんて。でも……来てくれて嬉しいです。あ、そうだプレゼントっ」
近くに置いておいた紙袋から取り出し先輩の前に差し出す。
軽いのに嵩のあるそれに驚いた顔をする先輩。
「あ、あの大したものじゃないんですけど、嵩張るって言うか……」
中身を言っちゃえばいいんだけど、やっぱり先輩にあけて見て欲しいから。
「さんきゅ、あけていい?」
「はいっ」
すぐにリボンをとき、開け始める先輩の顔は嬉しそうでそれを見てるだけでこちらも頬が緩む。
気にいってくれればいいけど。