初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
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「ただいま~」
「うあー、おねーちゃん珍しいっ」
半年ぶりに帰って来た実家。いつもよりも数日早く帰って来たって言うだけでこれだ。
二歳下の妹は大学も実家から通いそのままここで暮らしている。早々に家を出た私をそんなに羨む事もなく、結婚資金貯めるからとなかなか堅実的。
「……たまには、いいでしょ?はい、これ」
そう言って妹に渡したのはフルーツがふんだんに入ったロールケーキ。一度お土産にしたら毎回リクエストされるようになってしまった。季節限定品もあると話をしたら両方欲しいだなんて、贅沢な妹だ。
「うわー、今年は何かなー?すぐ食べたいけど、とりあえず冷蔵庫入れてくる」
くるくると表情の変わる妹は可愛いいタイプで、それを無意識なのかわかった上でなのか、ともかく十分にそれを発揮して過ごしてる。やっぱり憎めないなと思いながらその後ろ姿を見送る。
そのままリビングにいくと誰もいない。
「あれ?お母さんたちは?」
「あーおねーちゃん帰ってくるからって買い物行ったよ」
「そうなんだ」
いつも私が帰る時は好きなものが食卓に並んでて、それは大みそかだからなのかだと思ってたけど、そうでもなかったらしい。