初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
今では若干の面影を残すのみでこの頃の可愛らしさはない。
先輩は今でも笑うとまるで少年みたいで、あの頃の面影を残しているのに坂下くんにそれは見られない。
それだけ年月が経っているって事。あの頃の坂下くんはもういない。

どんどんページを繰っていくと最後は白紙のページが続く。
そこには寄せ書きが出来るようになっていて、私もそこに書いてもらってた。


《前途有望だった》


そのアルバムの左隅に書いてある坂下くんからのメッセージ。


前途有望＝将来成功する可能性を大いに秘めているさま。▽「前途」は将来、目標までの今後の道のり。「途」は道のり。「有望」は将来に望みをもつことができる状態。


可能性を見出しているのに、そのあとに続くのは過去形の言葉で。
それを何度も見ては意味を考えた。けれどその意味はわからないまま。

今見ても、今考えてもやっぱり謎かけみたいで……

他の子のアルバムに書いてある坂下くんの言葉は全然違うもので、お互い頑張ろうとか、お元気でとか当たり障りのないものばかり。

余計に気になっていたけど、高校が違って会う事もなくなって。
それで、ついには高校の途中で坂下くんは東京に引っ越してしまった
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