初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「冷たっ」

触れている側の目を咄嗟に閉じると、その動きを追うようにして先輩の冷たい唇が瞼に当てられた。

「ん、ごめん」

だから、そんな至近距離でしゃべるからまつ毛に吐息がかかって……

「クルミ?なんかクルミ熱い?」

んなわけない。だから先輩がそう言う事するから。
だって全然拘束は解いてくれないし、それにこの前まで触れるのを躊躇していた人とは思えないほどの、なにこれ。先輩、変わり過ぎじゃない?

「あの、先輩?」

「んー?」

んー?じゃないですよ、なにそれ可愛いじゃないですか。

「お茶とか暖房とか、ね?」

「うん、」

いやいや、全然言葉と態度が伴ってません。このままじゃほんとにずっとこのままなんじゃないかと危機感さえ感じる。
だから先輩の手を少しずつはがしていく。それをすべてはがし終えると少し拗ねたような声で、

「あーあ、まだ寒かったのに」

だから暖房付けるって……、て言った所で意味もない事はわかってる。それに、今日はまだこのあとも一緒にいるんだから。

「もうっ、そんな事言ってたら電車なくなりますよ?」

そう言うと先輩はパッと手を離し、「クルミ早く準備」と、さっきまでとは大違いの言葉を言う。

もういっそ、……うちでいいんじゃないの?と思う私はやっぱい男らしいのか
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