初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
それにつられるように3年生は口々に「おつかれー」って言いだした。
私たちも「おつかれさまでしたー」って3年生たちに向かって言った。
そこで部長が前に出て、

「先生ありがとうございました」

と言って深々とお辞儀をすると、女子の先輩たちがみんな泣きだしちゃってやっぱり私たちももらい泣き。
チラリと後ろを見ると、外山先輩も目を真っ赤にして涙をこらえてる風で、いつも元気でムードメーカーみたいな先輩のそんな顔にちょっとドキリとした。

そこでやっと解散になってみんなどんどんと音楽室から出て行った。
私はユキと一緒に帰る約束をしていたから廊下で来るのを待っていた。
パーカッションは今日は外にも出したからメンテナンスをきちんとしておかないとダメらしくて随分と時間がかかってるみたいだった。

「クルミ、帰んないのか?」

目の前の扉から外山先輩が出てきて声をかけてきた。

「あ、先輩お疲れ様です。ユキ待ってるんです」

「まだもう少しかかりそうだったけどな」

まだ少し赤い目をしたまま、先輩が教えてくれた。
そういえば、面と向かって話すのは久しぶりかもしれない。
合宿の夜以来、なるべく話さないようにしてたから。
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