初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「お?坂下まだ行ってないの?」

ぱぁっと明るい顔になって先輩は坂下くんにもう一度確認する。

「まぁ。そう、ですね」

「じゃあさ、クルミと行ってやってくんない?」

クルミト?イッテヤッテクンナイ?

「……は?!」
「え?!」

そんな奇声を発したのは私と坂下くん。

なんで私が坂下くんと?
というか、坂下くんにどうしてそんなこと?

先輩は驚いてる私たちに構わずに言葉を続けた。

「や、俺さ、一緒に行ってやれないしさ。二人とも行ってないならちょうどいいじゃん?それに二人とも家近いし」

まだ言ってないからとか、家近いとかそういうの関係ない。
それに絶対行くものでもないんだし。

「クルミいいなぁ、坂下くんとデートじゃん」

ユキの声にハッとなる。

「いやいや、それ違うっ」

ていうか先輩が彼氏でしょう?その彼が他の男の人に一緒に行ってくれってどういう?
先輩とその隣で一言も言葉を発していない坂下くんとを交互に見る。

私が坂下くんを好きだったことは、先輩との今までの話の中で知っているんだろうと感じている。

過去の事といえば、そうだけど。
自分がもし先輩の立場だったら?

それなのに……?
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