初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「今日はコレ、冷やしておいた」
そう言って冷蔵庫から取り出してきたのは綺麗なブルーのすりガラスの瓶。
「日本酒、ですか?」
「うん、店の人に聞いたら女の人に人気だっていうから」
日本酒の味は好きって言った事、覚えててくれたんだ。
「それにしても綺麗ですね、その瓶」
「だろ?こういうのクルミ好きだろ?」
先輩は顔をくしゃっとさせて笑う。
先輩のその顔、すごく好き。なんかあの頃を見てるようで……
「言いましたっけ?ブルーの瓶集めてる話」
「んー聞いてないけど、なんかイメージ?」
「ふふ、そうなんですね」
先輩の隣に座ってゆっくりと飲む日本酒。
それは優しい味がした。
「うん、これ。すごくおいしいですね」
「だな、こういうの好み?」
「はい、あーなんかこういうの飲みながら雪景色とか見たいですねー」
「お?雪見酒?」
「温泉入って、おいしいもの食べて、それで暖かい部屋でくーっと」
「どこのオッサンだよ、クルミ」
でも、そういうの先輩と一緒だったら楽しそう。
浴衣着て、先輩と一緒にお酒を飲む事は容易く想像できる。
「温泉、今度行くか?」
「え?」
「遠くはいけないけど、近くなら週末とかでもいけるだろ?」
「そうですねーどうせなら雪景色見れるトコがいいですねー」
私がそう言うとノートパソコンを出してきてページを検索しだした。