初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
隣から画面を覗き込む。
東北を中心に見ていくけど、雪景色だけの条件じゃあり過ぎる。

「んー、今度会うときまでに調べとくよ」

「あ、私もちょっと情報集めときます」

ふっと会話が止まると、先輩は私の持っているグラスをそっと手から外す。
コトリと音を立てて置かれたグラスを目線がおう。

「クルミ?」

先輩の私を呼ぶ声が耳に甘く響く。
その声だけで、先輩のこれからの行動がわかるから、そっと目を閉じた。

頬に添えられる手、親指でそろりと撫でられると、薬指と中指で耳たぶを挟む。

視覚を遮っているせいかそれだけで官能的な何かを連想させる。

先輩の気配は近くなるのに、思った場所に熱は与えられない。けれど目を開ける事が出来なくて、

その手が髪を耳にかけると、より一層近くなった声が耳元で囁く。

「クルミから欲しがって」

欲しがる?私から?
その言葉に目を開けるとすぐ隣に先輩の熱いまなざし。

「ぁ、」

より一層熱を帯びたその視線を向けたまま

「俺を、もっと欲しがって。クルミ……」

酔ってるわけじゃない。勢いでもない。
普段から先輩がそう思っているという事。
まっすぐにむけられたその想いが私の胸をさす。

いつになったら私は、それ以上の想いを先輩に返す事が出来るんだろう?
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