初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「ほんとは、嫌なんですか?」
「……」
黙ってるってことはそう言う事。
「だったら、」
「いや、ほんとに。」
「……」
こんな事で言い合ってるのってなんか変。それに、
「先輩?」
先輩の手の上にそっと手を乗せる。
「ん?」
「その話し、後でもいいですか?」
先輩は顔を上げて、返事の変わりに口付けを落とした。
先輩のモノだって伝えるには、言葉で言うだけじゃ足りなくて。
体で伝えようとするけれど、結局それは伝わってなくて。
先輩の想いはこんなに伝わってくるのに、何故私の気持ちは先輩に伝わらないのか。
先輩を欲しがるって言うのは、どう言う意味なんだろう。
身も心も焦がれて欲しいって?
焦がれる?
じんわりと幸せに浸るだけではダメなんだろうか。
先輩は激しく求め合ってはじめて幸せと感じる?
この前、幸せだって言い合って溶け合ったはずなのに。
そのもっと先?の幸せ?
先輩からの口付けを受けながらそんな事を考えてしまう私は……
「クルミ……」
やっぱり先輩にこんな声を出させてしまう。
甘く囁くのに、少しかすれてて、それで切ない響きを含む声。
キスの途中で私の名前を呼ぶのは、いつも私の意識が他にいっている時で。
だからきっと、呼びもどすために……
首に手を絡めて、心も体もそれに集中するように向き合う。
不安にならないで。
不満に思わないで。
そして……私の心を捕まえてて