初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「クルミの電話?」
「あ、メールなので後でも」
休日のこの時間に来るメールなんて、メルマガか暇な友達からのもの。
重要なら直接連絡してくるだろうし。
先輩は隣から起き上がって、私のカバンを取って渡してくれた。
そこまでされたら見ないわけにもいかず、布団から体を起してカバンからスマホを取り出した。
チカチカと点滅するスマホ。ロックを解除してメールマークをタッチする。
「ぇ、」
表示させたメールを見て驚いた。
「ん?どうした?」
さすがに先輩はメール画面は見ないけれど、私の顔を覗き込んでる。
スマホを左手に持ったまま先輩にその文面を見せる。
見ていいの?って顔をしてから今度はそれを覗き込む。
「坂下じゃん。」
「はい……」
「うん、来週。一緒に行っておいで」
その文面を見て先輩はニッコリほほ笑んで言う。
「坂下、元気なかっただろ?だから」
「え、先輩も気付い…――」
うっかり元気のない事を口にしてしまって、慌てて手で抑えるけどもう遅い。
でもそんな様子を見ても先輩は、
「ま、色々あんだろ?坂下だって」
色々って。眉を下げて言ったけど、左手の薬指のリングがない事に気づいていたのかもしれない