初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「今頃初詣行く人なんているのかな?」

「どうだろうね、さすがに誰もいないってことはないと思うよ」

都心の駅からも近いこの場所は、一月末とはいえ参拝者ぐらいはいるのかもしれない。

私たちは駅からの道を並んで歩く。
坂下くんと並んで歩くなんて、あの頃の私からして見たら夢のような時間なんじゃないだろうか。
飲み会の帰りなどでは並ぶ事はあっても、陽の高い時間にまるっきりのシラフでこうするのは何と言うか……

「いつもは地元の行ってるの?」

「え?」

坂下くんと一緒に居るのに、また頭の中の世界に入り込む所だった。
危ない危ない。

「初詣」

「あぁ、そう近所の神社に年明けすぐに行って、二日にまた大きなところに行って」

「それ、神社の梯子?」

ビックリしたような顔で立ち止まっていう坂下くん。

「う、まぁそうとも言うかも?」

うちの周りって何気に神社が多くて、梯子するつもりはないんだけど、誘われるがままに行っちゃうっていうか。

「俺も向こうに住んでる頃は元旦に行ってたんだけどな」

たしか一度、見かけたことある。
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