初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「ま、たまには来てやるよ。クルミが寂しいって言うからな」
「ちょ、私はっ。そんなこと……」
――――ガラッ
音楽室のドアが開き、そこから出てきたのは
「外山先輩、おつかれさまでした。お先失礼します」
「おぅ、坂下。おつかれー、またなー」
坂下君はチラリと私の方を見て、「胡桃澤さん、おつかれ」と小さく言ってすぐに帰っていった。
こんな所で先輩としゃべってたの聞かれてたかも。
聞かれても別に困るような事話してないけど、でも誤解されるのだけは嫌だ。かといって、何でもないのって言うのもおかしいし。
「クルミ?」
「え、」
先輩は少し困ったような顔をしてから
「あのさ―――
「ごっめーん。クルミ、お待たせー!!」
遠くからユキが大きな声で私を呼んでる。
なにか言いかけてた先輩の言葉をさえぎったから「なんか言いかけました?先輩」と聞くと
「いや、大したことじゃない。じゃあな、クルミ」
「はい、おつかれさまでした!」
階段の方に外山先輩は歩いていった。
「じゃ、帰ろっか、ユキ」
「ん、帰ろ」
私たちの最初のコンクールはこうして終わった。