初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「そう言えば知ってる?ここのおみくじは大御心(オオミゴコロ)っていって吉凶はないんだよ」
おおみごころ?
坂下くんの口から出た言葉に漢字があてはまらなくて意味がまったく分からない。吉とかじゃないって事だけはわかるけど、それじゃないおみくじなんて聞いたこともない。
「え?どう言う事?」
「たしかここのおみくじは、天皇が御祭神の時に詠まれた首の中から珠玉の御歌から選ばれてるんだったかな」
詠まれた首?ていうと百人一首みたいなあれ?
「でも、それって何か占えるの?」
「いや、占うんじゃなくて道標的なもの?かな?」
みちしるべ?
「じゃあ、人によって取り方が違うって事?」
「まぁそうだね。」
こんなに近くに住んでて、一度も訪れた事がなかったし、まさかおみくじの根底を覆すようなものだとも思いもしなかった。それに、
「坂下くんって物知りね?」
坂下くんは「はは、」乾いた笑いをした後で「まぁ調べたんだけどね?」と言った。
驚いて坂下くんをもう一度見る。私なんて場所は行けば分かるだろうぐらいにしか思ってなかった。おみくじの事だって全く疑ってもみなかったし。まじまじと見つめる私に坂下くんは照れたように言葉を続ける。