初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「念のため調べたら、御神籤の件が載っていて、興味があったから少し調べたんだ」

おみくじを引きたいのは私なのに、なにも考えずにここまで来たことを後悔する。何も考えずにというか、坂下くんと二人で出掛けるという事しか考えられなかった。

「なんというか、坂下くんらしいね」

そうだ、坂下くんってそういう人だ。慎重で物事を冷静に進める。だからあの時私は、普段とは違う坂下くんに違和感を感じたんだ。

今日の坂下くんは穏やかで、時折笑みさえ浮かべてる。

左手の薬指は、今日も何もないままだろうか。
私の右側を歩いてる坂下くんをチラリと見る。ここからだとその手を確認する事は出来ない。

この前も気付かないうちに何度も見てたみたいだから今日は気をつけないと。気になるけど気にしないようにするのって案外難しい。

「早くおみくじ見たいかもしれないけど、先に参拝済まそうか」

「あ、うん。そうだね」

そのまま御社殿を目指して歩く。玉砂利の音を聞きながら歩くと神聖な気持ちになっていくから不思議。
御神籤のために来た神社だけど、この音のおかげで身も心も清められて心からの祈願が出来そうだ。
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