初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「もう、いいの?」

あまりに早く私が戻ったせいかそんな風に言う坂下くん。

「うん、ただの冷やかし」

冗談でも言わないで欲しい、あんなこと。

「はは、小山田さんらしいね」

「ほんと、ノリちゃんらしいっていうのかな」

いや、ノリちゃんだからこそ言って欲しくない冗談。
でもそんな風に取ってしまう私が―――、

「どうだった?はじめての大御心は」

「えっと、あぁ、うーん……」

それを坂下くんに見えるように少し高い位置まで持っていく。


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ならび行く人にはよしやおくるとも

ただしき道をふみなたがへそ


【現代語訳】

多くの人々と並んで行く世の中で、たとえ他の人々にはおくれることがあっても、あまり急いで正しい道をふみあやまらないでほしいものです。

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「周りに囚われないで自分の道を行けってことなんじゃないのかな」

「……耳が痛いです」

私は周りに流されやすい。その上、人の目が気になって思う通りの事が言えないことも多い。
いい加減、大人になりなさいっていう神のお告げなんだろうか。

「持ち帰って時にはこれを読んで心に深く刻むといいらしいから」

「精進します」

柔らかく微笑んで私の大御心を返してくれた坂下くんは、一体どんなお告げだったんだろう。
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