初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「坂下くんのは?」

「俺?……」


坂下くんは目を伏せた後、たたんでしまおうとしていたその紙をもう一度開いた。


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茂りたるうばらからたち払ひても

ふむべき道はゆくべかりけり

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茨やカラタチの茂る道。
これは今の坂下くんの状況を言ってるのだろうか。
でもきっとそれは、そこを進む事によって道は開けるってことなら。

「お互いに日々精進しなさいってことみたいね?」

そんな言葉しか言えなかった。詳細を知らない私にとって坂下くんにかけられる言葉はこのぐらいしかない。

「……そうなんだろうね」

日々精進なんてわざわざ口にしなくても坂下くんは十分してるだろう。
だけど、なんとなくそう言わないと坂下くんが何か言葉にしそうで。ただそれが聞きたくなかった。
聞きたくないというか、それを聞くのが怖かったから。

「お天気もいいし、すこし歩く?」

散歩日和ではないけれど、都会の中で普段感じる事の出来ない緑多いこの場所を
もっと肌で感じたかった。

目的を達成してしまった今、坂下くんと一緒に居る理由はない。
だからなのか、私がそんな言葉を言ったのは。
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