初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
散歩と言っても今は1月。杜の中に見るものは野鳥ぐらいだろうけど生憎そういう趣味もない。
それに、日が傾いてくるとやっぱり、
「思ったよりも寒い……」
首にゆるく巻いていたストールをぐるぐると首に巻きつけるように直す。そのぐらいでは到底寒さをしのげるとは思えない。その様子を見て、坂下くんはフッと笑うと
「ここは新緑の季節にくるといいのかもしれないね」
そう優しく言ってくれたけど、ここの事調べたって言ってたから当然そんな事わかりきってた事なんだろう。
だけど私の言葉に何も言わずにしたがってくれたのは彼の優しさだろうか。
「菖蒲がこんな近所で見れる場所があるなんて知らなかった」
「その季節になったら先輩と一緒に来るといいよ」
―――先輩と。
坂下くんの言ってくれた言葉は間違いなく私への配慮なのに、それが突き放されたように感じるのは何故なのか。
「……うん、そうだね」
「とりあえず、温かいものでも飲みに行こうか」
頷いて出口に向かう坂下くんについていく。
あぁなんかこの感じ。
四人でご飯を食べた時。
中学生のあの時も坂下くんの背中を見てついていったっけ。
もちろんあの時は今みたいに冷静に坂下くんの様子を見る余裕もなくて、ただ高鳴る胸の音を隠すので精いっぱいだったけれど。
それに、日が傾いてくるとやっぱり、
「思ったよりも寒い……」
首にゆるく巻いていたストールをぐるぐると首に巻きつけるように直す。そのぐらいでは到底寒さをしのげるとは思えない。その様子を見て、坂下くんはフッと笑うと
「ここは新緑の季節にくるといいのかもしれないね」
そう優しく言ってくれたけど、ここの事調べたって言ってたから当然そんな事わかりきってた事なんだろう。
だけど私の言葉に何も言わずにしたがってくれたのは彼の優しさだろうか。
「菖蒲がこんな近所で見れる場所があるなんて知らなかった」
「その季節になったら先輩と一緒に来るといいよ」
―――先輩と。
坂下くんの言ってくれた言葉は間違いなく私への配慮なのに、それが突き放されたように感じるのは何故なのか。
「……うん、そうだね」
「とりあえず、温かいものでも飲みに行こうか」
頷いて出口に向かう坂下くんについていく。
あぁなんかこの感じ。
四人でご飯を食べた時。
中学生のあの時も坂下くんの背中を見てついていったっけ。
もちろんあの時は今みたいに冷静に坂下くんの様子を見る余裕もなくて、ただ高鳴る胸の音を隠すので精いっぱいだったけれど。