初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「今日は最初から報告するつもりだったんだ。随分と迷惑かけたからね」
「迷惑なんて……」
結論が出た事はよかったけど、その結果がよかったとは言い難い。二人にしか分からない事もあるんだろうから、その答えの感想を私が言うのはきっと間違っている。
「……だから今年は新たな気持ちでスタートできたよ」
「そう、なんだ」
心からそう言っている事がその表情からも窺えて、少しだけほっとする。
「だから、ありがとう」
ありがとう?
迷惑もかけられてなければお礼を言われるような事もない。
坂下くんをまじまじと見て、その言葉の真の意味を測りかねていると、
「どう、そのワインは?」
と、坂下くんは全く関係ない話をし始める。
まるで、この話しは終わりとでもいうように。
そう言われて、新しいワインに口をつける。
「さっきのより飲みやすい……」
フルーティーでこれなら本当にもっと飲めそうで。
「でも、飲み過ぎないようにね」
「……はい」
そうだった。日本酒でこりごりって思ったはずなのに。
ここでくぎを刺されなければ、またやってしまうところだった。
全くもって私は学習しない。