初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「待ち合わせ……」

わざわざそれだけのために呼びつけるのは気が引ける。
いや、なにより三人にはなりたくない私がいる。

「今言っても仕方ないか」

「……うん」

だって昔好きだった人と今付き合ってる人と並んで話をするのってなんか変な気分だ。

例えば、その昔好きだった人が昔付き合っていた人だったら、もう過去の事って割り切れる。
けれど、ただ私が好きだった人だというのがどうにも悪い。

あの頃私は好きだったけど、彼はどうだったんだろうなんて考えると。それを今彼に見られるのはやっぱり……。


「さっきの話だけど、」

「うん?」

「部活の帰りにたまに見かけてたって言った事。」

「あぁうん、そうだね。反対側の歩道歩いてたよね、坂下くん」

坂下くんと帰る方向は一緒だけど、彼の家はうちよりも海側にあるから必然的にそうなる。

「朝も、見かけてたよ」

「え?」

「鈴山さんと一緒に行ってたよね?」

「ユキと待ち合わせてたから、だけど……」

「たぶん、俺の方が少し後ろにいたから気付かなかったのかもね」

「そ、そうなんだ」

それからあとは懐かしい中学の話で盛り上がって、あぁ同級生っていいなぁって思い始めてきた。
うん、これなら坂下くんといい男友達になれるかもしれない。なんて……
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